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甲状腺機能亢進症 症例紹介①
日本猫 14歳 女の子(避妊済み)
甲状腺機能亢進症が治療されていなかった猫ちゃんの一例です。
◆症状・経過
他院にて2年前より肝酵素の上昇(基準値の2倍)があったが、無治療で経過を見ていました。
1か月前に食欲低下がみられ食事の変更を行ったら食欲は戻ったが、痩せてきているとのことでした。
突然昨日の夜、口を開けて呼吸、足がふらつく、餌や水を摂らない、落ち着かないなどの症状が出たとのことで来院されました。
来院時には、頸の腹側への屈曲、体温の低下、顔つきの変化が見られました。
◆検査
血液検査を行ったところ、肝臓の数値が基準値上限の5倍と増加しており、腎臓の数値の上昇なども見られました。
年齢や臨床症状より、甲状腺クリーゼを疑い対症療法を行いながら
甲状腺ホルモンの測定をしたところ、基準値の2倍以上の上昇が見られました。
◆治療
一時的に悪化した腎臓の問題に対するケアと甲状腺機能亢進症に対する治療を並行して行い徐々に元気になりました。
甲状腺クリーゼについて
人間でも甲状腺クリーゼは死亡率がかなり高い病気に分類されます。
猫ちゃんも人間と同じで、発熱、神経症状、消化器症状、呼吸器 心疾患様症状など症状も多様なため、
甲状腺機能亢進症が存在するという事がわかっていない状態では、診断がかなり難しくなってきます。
甲状腺機能亢進症は、時にはこのような大変な状態になります。
10歳以上の猫ちゃんで食べているのに痩せてきたり、健康診断で肝臓の酵素の異常が見つかったりする場合は、甲状腺のホルモンの数値も測定するようにしましょう。