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犬の病気

症例紹介⑤ ~肥満細胞腫~

マルチーズ 12歳 女の子

足が腫れているとのことで、ご来院されました。
足の甲が大きく腫れているような出来物が出来ていたため、針を刺して検査を行ったところ、肥満細胞腫が疑われました。
肥満細胞腫は取ってしまうのが一番良いので、外科的に取ってしまうことが理想でしたが、
このわんちゃんの場合、出来物が足の甲の大部分を占めるほど大きいことと、
さらにマージン(余裕)を確保しなければならないことなどで、摘出してしまうと皮膚の欠損部が多くなってしまうために、
外科的な処置の場合、足首から下の切断をしなければ完全摘出は難しい状態でした。

オーナー様は大掛かりな外科的処置は望まれなかったため、まずは抗がん剤による治療を開始しました。
この抗がん剤が功を奏せば、1~2週間で腫瘍は小さくなってきます。
しかし、残念なことに、効果は見られませんでした。

そのため、次のご提案として、がんワクチンと丸山ワクチンによる治療をおすすめいたしました。

がんワクチンは、腫瘍がある程度の大きさがある場合に、その腫瘍を使って作成します。
丸山ワクチンはがんに対する注射になります。
どちらも副作用は多くありませんし、簡便に行うことができます。

がんワクチンを作成するために、腫瘤を部分的に摘出しました。
この場合、上に書かせていただいたようにマージンを取ることも、腫瘤を全て摘出することも、難しいため行っておりません。



丸山ワクチンは普通の注射となにも変わらない処置になります。

がんワクチンを1クール、丸山ワクチンも3か月の接種を行い、再発、転移が見られなかったため、治療を終了しました。
治療終了後5カ月が経過しておりますが、未だ再発、転移は見られず、良い状態を維持しております。
体表の腫瘤は基本的には摘出するのが一番ですが、それを望まれない場合、摘出部分が大きすぎる場合、
転移がある場合などは、今回のように、がんワクチン、丸山ワクチン、それに加えて光線温熱療法など、
大きな外科切除を行わなくてもそれ以上の転移、再発を予防する効果、
今あるがんを小さくする効果がある可能性がある治療を選択することが出来ます。

光線温熱療法、がんワクチンは
鳥取大学獣医学科獣医神経病学・腫瘍学教室主任、岡本芳晴教授のもとで実施を行っております。

治療法には、様々なものがありますが、
当院では寛解までいかなくとも余命の延長、QOLの向上を目的とした療法も選択肢の一つに加えることが出来ます。
オーナー様とわんちゃん、猫ちゃんのライフスタイルに合った治療法で無理なく治療をしていきましょう。

当院では特に、下記の科目に力をいれて診療をしております。