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猫では、トータルケアが出来るよう猫風邪・皮膚科・歯科・口内炎・腎不全や甲状腺機能亢進症などの慢性疾患に力を入れて治療しております。

猫ちゃんは環境の変化に敏感な子が多く、一度嫌な経験をすると治療を受け付けてくれなくなってしまう子もいます。当院では、なるべく猫ちゃんに負担をかけないよう、その子の性格を意識した診療を心がけております。
なるべく通院を減らす・入院させない治療法をご提案出来るようにしています。

猫のウィルス疾患 ~猫伝染性腹膜炎(FIP)~

猫伝染性腹膜炎は、多くの猫の腸に感染する低病原性のネココロナウイルス(FCoC)が突然変異し
主に血液中に移行し血液中の成分(マクロファージ)で増殖します。
感染した猫はウイルスに対して過剰なアレルギー反応をおこし
全身のいたるところに血管炎を引き起こします。

現在、猫伝染性腹膜炎に関しての予防・治療法はまだ確立されていません。
発症は生後半年~3歳に多くみられ、稀に高齢でも見られます。
コロナウイルス感染の猫ちゃんの中でも数%の発症とされていますが、いったん発症すると完治は困難な病気です。


原因
ネココロナウイルスの突然変異による。
突然変異の要因としては、多頭飼育や飼育環境によるストレス、
猫エイズ・猫白血病ウイルスなどの免疫異常を引き起こす病気が関与していると言われています。
猫伝染性腹膜炎を発症した猫ちゃんから健康な猫ちゃんへの感染(水平感染)は現在のところ証明されていません。
また、雑種のネコちゃんよりも純血種の猫ちゃん(特にアジア系品種:ヒマラヤン・バーマンなど)のほうが発症しやすいとされています。


病型と症状
多くの臓器が侵されるため、元気消失・食欲不振・体重減少(特に幼若期)など、様々な原因不明の症状がみられます。
猫伝染性腹膜炎の病型には2つのタイプがあります。

①ウェットタイプ(滲出型)
発症した猫ちゃんの大部分がこのタイプです。
元気消失・食欲不振・発熱・腹部膨大などがみられ、呼吸困難・貧血・脱水・黄疸・下痢などがみられることもあります。

②ドライタイプ(非滲出型)
主に眼や神経系に症状を出します。
眼に症状がでると白く濁ったように見えたりします(前ぶどう膜炎)。
神経系に障害が出るとその病変部位により様々な症状
例えば眼球が揺れたり、異常行動を起こしたり、痙攣、後ろ足の麻痺、旋回運動などいろいろな神経症状を起こします。
その他、黄疸(2歳未満で多く見られます)、腹部腫瘤なども見られることがあります。


診断
他に同じような症状を呈する病気を除外し、主に症状から猫伝染性腹膜炎を疑います。
最近では血液や腹水を採取し、遺伝子を検査する診断方法が確立されていますが
診断精度は100%ではないので臨床症状と合わせて総合的に診断します。
ドライタイプでは腹水が溜まりにくいため診断が困難な場合があります。


治療
現在のところ、猫伝染性腹膜炎の治療法は確立されていません。
現在推奨されている治療法は、免疫を抑える量のステロイドとインターフェロン(ウイルスを抑制する物質)を組み合わせるもので、
長期間生存の成果も見られています。